乾季から雨季への移行期に注意<最初の雨で増える危険>
北スラウェシでは長期間まとまった雨が降らず、火災による煙や乾燥による砂塵などの影響が続いています。一方、最近は雨への期待も高まり、実際に雨につながる雲の発達がみられる日も出てきました。
今年は雨季の始まりが遅れていますが、今後実際に雨が降り始めた場合には、乾季とは異なる危険にも注意する必要があります。
長い乾燥のあと雨が戻ってくる時期は、火災や乾燥による危険を残したまま、雷、突風、冠水、土砂災害などの危険が加わる移行期です。
特に、「一度雨が降った=雨季に入った=火災の心配はなくなった」ではありません。
非常に強いEl Niñoの影響も続いており、一時的に雨が降っても、その後再び乾燥した状態に戻る可能性があります。
特に以下の点に注意してください。
① 最初の強い雨による冠水・急な増水
長期間雨が降っていないと、側溝や排水路に落ち葉、土砂、ゴミなどが溜まっていることがあります。
そこへ短時間に強い雨が降ると、降水量そのものが極端でなくても排水が追いつかず、道路冠水や水路・小河川の急な増水が発生することがあります。
低い道路や水が集まりやすい場所では、雨の強さだけでなく周囲の排水状況にも注意してください。
特にインドネシアでは、日ごろからごみのポイ捨てが深刻なため、雨季になると低地ではすぐに側溝がゴミで詰まり、溢れた汚水で、道路冠水や家屋浸水被害が多発します。
また、浸水地域は側溝からあふれた汚水は、衛生状態が悪いため、水が引いた後も感染症(傷口からの破傷風や大腸菌やチフス菌等による食中毒)などに注意が必要です。
② 斜面崩壊・土砂崩れ
北スラウェシには傾斜地が多く、雨が続いた場合には斜面にも注意が必要です。
長期間乾燥した地面では、雨が降り始めた際に表土が流れやすくなる場合があります。また、まとまった雨が数時間から数日続いて地中に水が浸透すると、斜面が不安定になることがあります。
特に崖、切土、擁壁などの近くでは、
・新しい亀裂ができる
・濁った水が斜面から流れ出す
・普段とは違う場所から水が出る
・小石や土が落ちてくる
といった変化が見られた場合には注意してください。不用意に近づかないようにしましょう。
③ 雷・突風・倒木の危険(および、それに関連した停電)
乾季から雨季への移行期には、晴れて暑い状態から急速に積乱雲が発達し、局地的な強い雨、雷、突風となることがあります。
長期間の乾燥で枯れたり傷んだ枝や樹木がある場合には、強い雨や風によって枝折れや倒木が発生することもあります。
空が急に暗くなる、雷鳴が聞こえる、急に強い風が吹き始めるなどの変化があった場合には、屋外での活動を早めに切り上げ、安全な建物内に移動しましょう。
雷や突風・倒木、豪雨は、乾季が続いていたため倒木による電力ケーブルの切断や雨水による電力設備の浸水・漏電などによって電力会社の配電網に影響・停電が発生する可能性もあります。急な停電に備えてください。(パソコンの作業はこまめに保存したり、スマホやモバイルバッテリーを余裕を見た充電など)携帯電話の通信網もしばらくは基地局のバッテリ等により数時間程度は維持されますが、その後基地局の電力が尽きた場合は圏外になることもあります。
④ 最初の雨の道路は非常に滑りやすい
特に二輪車を利用する場合には注意が必要です。
何週間も雨が降っていない道路には、砂や埃のほか、タイヤの摩耗粉や車両から落ちた油分などが蓄積していることがあります。
雨の降り始めには、これらが水と混ざることで路面が滑りやすくなる場合があります。
雨が降り始めてから道路表面が十分に洗い流されるまでは、速度を落とし、車間距離や制動距離に通常以上の余裕を持ちましょう。
⑤ 火災への注意をすぐ解除しない
一度雨が降っても、地表だけが濡れ、草木や土壌の内部には乾燥した状態が残っている場合があります。
その後数日晴天が続けば、再び燃えやすい状態になる可能性があります。
安定して雨が降るようになるまでは、野焼き、ゴミ焼却、タバコ、蚊取り線香など火の取り扱いには引き続き十分注意してください。
雨が降ったからといって、すぐに火災警戒を解除しないことが重要です。
⑥ 雨季前に家のまわりを点検しましょう
雨が本格化する前に、家の周囲を一度確認しておくことをおすすめします。
特に、
・屋根や雨樋
・側溝、排水口
・敷地内の水の流れ
・屋外の電気配線やコンセント
・擁壁や斜面
・枯れ枝や倒れそうな樹木
などを確認してください。
乾燥している間に落ち葉やゴミが大量に溜まった雨樋や排水口では、最初の強い雨で一気に水があふれることがあります。
排水が悪い場所では屋内浸水につながるほか、斜面や擁壁周辺では水が溜まることで斜面の不安定化につながる場合もあります。
また、屋内外の電気設備は乾季には異常が見えなくても、雨季になり高湿度の環境や雨水が入ることで漏電や短絡などの問題が表面化することがあります。
問題を見つけた場合は、雨季が本格化する前に修繕しましょう。なお、既に危険を認める場合は不用意に修繕を強行したり近づいたりしないようにしましょう。
周辺でがけ崩れ・地滑りが起きた場合に自宅に被害が想定されるときは、避難経路の確認や重要物品や書類を万一の場合に慌てず持ち出せるように整理しておきましょう。(日本での災害時の非常用持ち出し袋と同じような概念です。)
乾季から雨季への移行期は、危険が「火災から水害へ完全に入れ替わる」わけではありません。
しばらくの間は、火災・乾燥への注意を続けながら、雷・突風・冠水・土砂災害にも備える必要があります。
天候が変わり始めた時期こそ、最新の気象情報を確認し、急な天候変化には十分注意してください。
